お問い合わせ緊急相談窓口

ブラックジャーナル

<< 記事一覧に戻る
2017年01月31日
ネガティブ

みずほ証券「元派遣社員」が告発 “パワハラ職場” の実態

「財界展望」2017年3月号において、みずほ証券内で派遣スタッフに対して公然と行われたパワハラについて、汚名を着せられた上で会社を追われた被害者からの告発情報を基に報道している。

みずほ証券の幹部社員の秘書として勤務していた派遣スタッフに対し執拗な社内いじめとパワハラ、そして退職強要がおこなわれた事件が15年~16年にかけて発生、民事裁判が進行中だ。

みずほ証券内のとある部署内でグループ長の秘書として勤務を開始した派遣社員のAさんは、入社早々からほぼ全ての勤務期間に渡り、グループ内の一部門長である女性部長B氏からパワハラに相当する執拗な嫌がらせを受けていたという。

Aさんは秘書として、グループ長室の機密管理を命じられていた。しかし現場の独断により、グループ長室が無人の時も、秘書以外の人物が勝手に出入りする状況にあった。環境を危惧したAさんは、出入りする人物に注意し、B氏に報告をおこなったのだが、逆にB氏から「外部からきた新入りのくせに」と注意を受け、グループ長に対しても「生意気な秘書」と告げ口をされてしまったという。

同様の事態はその後も続発。訴状によると、B氏はAさんに対して、事実とは異なる内容を経理書類に記載して管理部に提出するよう命じたり、人事関連の機密情報がグループ長のデスク上に放置されていることを指摘したAさんに対して「人事機密情報を漏洩した」と糾弾したりするなどの対応をおこなったという。

結果的に、Aさんの秘書としての気配りが、退職強要の道具に利用されることになった。Aさんが病気欠勤の日に、Aさんの派遣元企業の担当者はみずほ証券に呼び出され、「重大な情報漏洩をする秘書の派遣を即刻中止せよ」と叱責を受けた。その後B氏は、Aさんに対して自宅待機を命じたうえで「今すぐ荷物をまとめて退社しなさい。それが業務命令です」と指令し、オフィスから即時退去させたのだ。名目上はあくまで自宅待機であるが、Aさんは「私にしてみれば、懲戒解雇のような扱いだと感じています」と語る。

Aさんが複数の弁護士に相談し、「出勤停止措置は違法な退職強要に当たる。あなたは出勤しなさい」とアドバイスを受けたため、その後も一週間出勤し、「関係者同席のもと、事実確認のための協議をしてほしい」と依頼したが、その願いが叶えられることはなかった。派遣元企業も、結果的に充分な事実確認をおこなわないままAさんの追い出しに加担してしまった形だが、B氏の派遣中止要求に応じなければ、みずほ証券自体との取引関係に悪影響が及ぶことを危惧してのことだろう。これはB氏から派遣社員に対するパワハラのみならず、発注主というパワーバランスを用いた、派遣元企業に対するパワハラであるともいえる。

上層部に求められる社内コンプライアンスの見直し

AさんはB氏に対して「執拗な嫌がらせ、不当な人事評価、安全配慮義務の放棄等」を複数回行い、派遣契約を終了させて鬱病を発症させ、結果として失業状態に追い込んだことに対し、損害賠償請求を決意。双方の弁護士間でやりとりを始めたが、B氏は文書の中でAさんに対し、「損害賠償請求に応じられない」「(本件についてメディアに情報漏洩して名誉棄損した場合)法的措置を検討せざるを得ない」と回答。体調不良で療養中の被害者に対するこのような対応は、スラップ(恫喝訴訟)の疑いもあり、益々みずほ証券のコンプライアンス遵守の姿勢に疑問符がつく。

一連の事件について、筆者はみずほ証券に取材を行った。同社広報部からは「当社社員に対し訴訟が提起された事実は認識しております。本件は、係争中の案件であり、社員のプライバシーに関することですので回答は控えさせて頂きます」との回答が寄せられた。

これだけの被害に遭ったAさんだが、「みずほ証券全体が、B氏のような人ばかりではない」と語る。Aさんが裁判まで踏み切るにあたり、社内でコンプライアンスに関わる部門の人が献身的に協力してくれたり、社内で高い地位にある人物が「派遣だからなんて、身分は関係ない。正しい人が悪者にされる会社は育たない」とサポートしてくれたりしたことで、「会社自体がパワハラ気質だとは思えない」のだという。

「不当なパワハラはもう私の事件で最後にして、本来の『心温かい、健全で、公平な』みずほを目指してほしい。みずほは、仕事を一生懸命頑張り、心も温かい方が多い会社だけに今回の件は大変残念です」(Aさん)

会社全体としてどんなにコンプライアンスに力を入れ、正義感溢れる社員を揃えたとしても、B氏のような現場の一社員がその網をすり抜けてしまえば、その努力は水の泡になってしまうのだ。みずほ証券の上層部は今回の件を踏まえ、社内コンプライアンスの見直しを徹底すべきだ。

詳しくは本誌にて。

財界展望」2017年3月号

<< 記事一覧に戻る

あなたにおすすめの記事