「ZAITEN」(2017年5月号)の特集「『凶悪クレーマー』最新事情」において、巻頭記事「クレーム対応こそ『企業の経営問題』」を執筆、公開した。
誌面の都合上、全てのノウハウが掲載できなかったため、こちらで要点をお伝えしておきたい。
<記事要点>
・大企業ほどクレーム対応がなっていない。コンプライアンスにがんじがらめになっていて、悪質クレーマーに合わせた効果的で適切な対応ができない状況に陥っている
・また、合併や分社化などで、貴重な対応ノウハウを組織内で継承できていないケースも多い。そして、大企業ブランドの看板を掲げていても、現場で顧客に接するスタッフは別会社の人間、というケースも多い。本来はブランドロゴと同じくらい、クレーム対応マニュアルも大切にすべきものである
・従って、クレーム対応がきちんとできれば、お客さんからの評判はもちろん、人材の採用や定着、職場雰囲気といった点で大企業に勝つことは容易にできる
・「悪質クレーマー」は大きく2種類に分かれる。ひとつは、よくニュースなどでも報道される『利益目的』のタイプ。『誠意を見せろ!』などと凄んで金品や慰謝料を要求するようなパターン
・もう一つは『ストーカー』タイプ。担当者個人に恋愛感情をもって近づいたり、単に話し相手がほしいがために何時間も電話口で粘ったりするというパターンであり、この被害が近年増えている
<悪質クレーム対応マニュアル作りのためのマニュアル>
(1)悪質クレームの実態を現場から吸い上げる
(2)自社・自組織における「悪質クレーム」の定義を明確に定める
(3)時間で区切る
(4)人と場所を変える
(5)できないことは「できない」と伝える
(6)弁護士や警察と繋ぐ
(7)弁護士や警察と、普段から「いい関係」を構築・維持する
このような悪質クレーム対策マニュアルは、決して本社の法務部には作成できない。コンプライアンスで対処しようとしても、悪質クレームそのものは法律で定義されていないため、そもそもコンプライアンスという枠組みが馴染まないためだ。
ぜひ現場に力を持たせ、意見を吸い上げ、実地に対処できるマニュアルを作成してほしい。そして弁護士や警察と随時情報共有し、良い関係を維持しつつ、対処していけばよいだろう。
詳しくは本誌にて。
「ZAITEN」(2017年5月号)
http://www.zaiten.co.jp/zaiten/201705.shtml