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ブラックジャーナル

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2016年12月14日
ポジティブ

「プレミアムフライデー」の有効性

フジテレビ「ホウドウキョク」のニュースプログラム「あしたのコンパス」においてコメントした、「プレミアムフライデー」の有効性に関する論点と意見詳細

結論

・プレミアムフライデーは特効薬ではない。
しかし、世の中の冷めた反応に同調することなく、これを契機に「働き方改革」に本腰を入れようと一歩踏み出した会社こそが勝者となり得る

論点

(1)本当に午後3時に退社できるのか?
(2)午後3時に退社して幸せになるのか?
(3)本当に消費喚起になるのか?

⇒(1)~(3)については明らかに懐疑的意見が多い。まとめると、次のようなものだ。

「そもそも金曜日に15時上がりできるような所で働ける人は制度なんてなくても普段から休んでる」
「罰則もないから、サービス業や中小企業、自営業の人達には元々縁がない話」
「時給労働者にしてみたら、ただの給与カットデーだ」
「月末なんてどこも忙しい。一部の企業だけが楽しめる制度なんて定着するわけない」
「月1回だけ15時に退社するより、毎日定時で帰れる方がずっと幸せ」
「早く帰れたから買い物するって考えが古い。ネットで買うし、そもそもお金がないから買い物しないだけ」

いずれも正論であり、もっと先にやるべきことはいろいろとあるように思われる。

長時間労働撲滅のための「労働時間上限規制」や「インターバル規制」、そして「有給休暇取得推奨」などだ。それだけでも、中途半端な「15時退社」よりもよほど効果があるように思われる。

実際経産省も、メディア取材に対して「強制ではなく、あくまで賛同した事業者がするものです」「負担があるのであれば、プレミアムフライデーに参加しなくてもいいと思っています。強制ではありません。従業員の全員ができるとは思っていませんので、出来る範囲で、企業の中で工夫してもらいたいです」と回答しているほどだ。

(4)「働き方改革」につながるのか?

⇒「総スカン」状態のようだが、それでも多少の意義はある。その点を踏まえて擁護してみたい。

「週休二日」や「クールビズ」「ノー残業デー」など、政府や公務員から実践・主導したことで浸透していった施策も過去にはある。従前「自主的にやれ」というやり方でダメだったところを、ある程度の強制性をもった枠組みを用意することで変わっていく可能性もあるので、批判する前に「まずはやってみる」のもよいだろう。実践してみた結果、不具合があれば修正していければよい。

また、中央省庁や役所が先頭に立って15時に終われば、後に続く企業が増える期待もある。発注主である役所が働いているから、従業員を帰らせられない企業もあるためだ。

「みんなやったことがない」わけであるから、「どうするか分からない」「どうなるか分からない」のは当然だ。

個人的な意見としては、このように世間が冷笑をもって捉える中で、これを契機に本腰を入れて「働き方改革」に取組み、成果を発表できる会社となるよう行動することをお勧めしたい。

早帰りを推し進めることで、「『短くなった2時間分の仕事』をどこで取り返すか」は必ず問題になる。そこで、仕事の進めかたや割振りを根本から見直し、従業員の生産性を向上させ、会社ぐるみで長時間労働抑止や残業削減に取り組めればよい。それで実際に残業を減らし、業務シワ寄せの心配なくプレミアムフライデーを満喫できる会社になり、その成果を大々的に告知するのだ。このタイミングであれば「先進的な、働きやすい会社!」と賞賛され、ビジネス展開や採用面でもプラスになることだろう。

もちろん国としても、単にイベント的に打ち上げて終わりにするのではなく、(所轄官庁は異なるが)先述の法制を推進するほか、取組をおこなう企業が活動しやすいように制度面などからサポートをおこなったり、減税や補助金などのインセンティブを提供したりすることに注力してほしい。

従業員が「余暇の為に積極的に時間を作ろうとして仕事を早く終わらせる」「どんどんお金を使いたくなる」くらいの前向きな気持ちが持てる労働環境を、官民挙げて推進するくらいの覚悟でやって頂きたい。

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