お問い合わせ緊急相談窓口

ブラックジャーナル

<< 記事一覧に戻る
2020年01月06日
ネガティブ

上場企業代表取締役による数十億円規模の投資詐欺疑惑で金融庁へ告発の動き

「株式会社オウケイウェイヴ」は、ナレッジコミュニティ「OKWAVE」を運営する名証セントレックス上場企業である。現在同社の代表取締役を務める松田元氏は、2017年から経営に参画。仮想通貨やブロックチェーンに関する事業への主導的な役割を期待され、2018年代表取締役社長に就任した。創業者であり前任の兼元謙任氏は代表取締役会長に移り、2代表制の体制となっている。

松田氏が社長就任に至ったのは、2018年6月期の増益に寄与したことを評価されてのことであり、それは子会社「Okfinc」において第4四半期中に計上した新規事業「ブロックチェーンベースシステムの受託開発」(フィンテック事業)によるものである。この売上にかかる取引先企業W社は松田氏プロデュースによる仮想通貨事業によって収益を得ているが、その点に疑義が呈されているのだ。

W社は、「上場会社のオウケイウェイヴが資本参加している」という点で投資家の信頼を得たが、実際に資本を拠出したのはW社の代表者個人であり、オウケイウェイヴやその子会社が資本参加した事実はないと報道されている。したがって、オウケイウェイヴも一連の虚偽の片棒を担いでいるといっても過言ではない。

さらに松田氏は2014年前後に、自身の舎弟であった矢野健太郎氏が代表を務める「エービーアイ株式会社」(東京都新宿区)社とともに個人名義で投資家向けセミナーを開催し、高配当を謳って約10億円ともいわれる資金集めをおこなっていたことが明らかになっている。

「エービーアイ社の社債を購入する」という形をとって投資家に資金を振り込ませたが、結果的に投資家からの要請を受けるまでレポートを出すこともなく、元本の返済を要求されても対応せず、数年前から複数の投資家との間で民事訴訟も含めたトラブルになっている。(松田氏と投資家間におけるfacebookメッセンジャー通信記録など、各種証拠資料も入手済)

↑エービーアイ社発行の社債の請求書。この投資家は5,000万円分の社債を購入したが…

↑返金を依頼しても、松田氏は対応しなかった。

2017年には、矢野氏が松田氏に対し、約1億9,000万円の債権があると申立て、仮差押決定に基き東京地裁に貸金返還等請求訴訟を提起し争われていると報じられた。これは矢野氏がトラブル被害者に対して一部でも弁済するため、エービーアイ社に金銭消費賃借契約書を出していた債権の裏付がある分に限って訴訟を起こしたものである。

また先般、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたKAZMAXこと吉澤和真氏は以前松田氏が開講していた投資塾の塾生であり、矢野氏と同様に松田氏の舎弟的な立場であったのだが、両者間の関係が悪化して以降、吉澤氏からは「松田氏に隷属的な労働を強いられた」旨の告発情報がブラック企業アナリスト宛に寄せられていたのだ。氏からヒアリングした内容は…

「自分(吉澤氏)は松田の元運転手で、騙されて多額のお金を搾取された。当時は奴隷労働させられていた被害者なのに、松田の投資詐欺疑惑ではグルだと思われており不本意である」
「毎日朝9時から夜中3時まで身を粉にして働いても、給与も経費精算もない状況だった」
「『俺からの給料は俺と一緒にいる時間だ』が口癖」
「松田自身もビジネスに失敗し続け、頼りは部下の個人的なお金だった。それを頼りに家賃を払ったり、出版資金に充てられたりした」
「矢野はピュアな人間で、松田によって詐欺師に仕立て上げられてしまい、再起不能になってしまった」
「松田は頭が良くて口も上手い。まっすぐ信じてサポートするが、結局ハシゴを外されてしまう。部下に金を借りさせた挙句結局破産させ、知らないふりをする」
「松田主催の投資塾では塾生から資金を拠出させ、『松田氏が投資運用する』と謳っていたが、松田が当該資金から個人的に4億円を着服していた」
「資産運用したい個人投資家から預かった資金を松田氏の指示通りに運用したが、結果的に1ヵ月で1千万円がゼロになった。結局、松田個人から年利20%で1千万円を借り入れる形で返済させられた」
「借金返済のために、自分の名前を使って松田に情報商材を出されてしまった。上場企業が間に入ると聞いて安心していたが、勝手にLPを組まれて、内容を確認する前にリリースされてしまった」
「上場企業が間に入る予定は流れたが、入会金を得てしまっている以上、自分が運用しなくてはいけなくなった。1,000人分の金消を自分でまいて対応した」
「得てしまったひとり30万円分の入会金の返金原資は、自分個人のトレーディング益から賄っている。途中で辞めたら自分が詐欺師になってしまうから」
「松田の指令は矢野経由で来るので、松田がケツを拭くことはない。自分に被害が及ばないように人を盾にしているので、これまで周囲にいた人間は全員離れていった」

以上はあくまで吉澤氏側の言い分であり、これまで述べてきた投資詐欺が疑われる事案についても「疑惑」の段階である。しかし、複数の被害者から同様の告発を受けているほか、既に一部被害者からは松田氏に対する訴訟が提起されているとの情報も入っている。また別の被害者からは、「エービーアイ社における投資勧誘行為は金融商品取引法違反に該当するもの」として、金融庁等への告発をおこなうとの証言も得ているのだ。

松田氏の行為は、オウケイウェイヴが上場している名古屋証券取引所における上場適格要件のうち

(3)企業経営の健全性:事業を公正かつ忠実に遂行していること
(4)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性:コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること
(5)公益又は投資者保護観点から名証が必要と認める事項

の3点に抵触しているとも思料される。

本件については松田氏側の見解も得たく、株式会社オウケイウェイヴおよび名古屋証券取引所に確認取材をおこなった。オウケイウェイヴ側からの返答は前回同様得られなかったが、名古屋証券取引所からは次のとおり返答が来た。

「当取引所では、取引所規則等に基づき、上場会社に対して必要が生じた場合は、適切な措置等を講じるとともに、その内容を公表することとしております。
ご質問の件につきましては、個別会社に関わる事項であり、守秘義務のためお答えいたしかねます。」

あくまで疑惑ではあるが、数々の証拠および複数の証言者がおり、当局にも告発がなされている状況である。それに対しては松田氏側も、上場企業経営者として何らかの対応やコメントがなされるべきではないだろうか。

引き続き本件については取材と報道を進めていく。

<< 記事一覧に戻る

あなたにおすすめの記事