自民党の高市早苗氏が総裁選に勝利した直後、「ワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いてまいります」と決意を語った。この言葉が物議を醸しており、一部メディアと野党議員、そして左派論者から「国民に過労を要求しかねない」と厳しく批判を受けているのだ。今回はワークライフバランスと労働問題の専門家の観点から、高市氏の発言を考察する。
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高市氏の「ワークライフバランス捨てます」という発言に対して、一部メディアとアンチが強烈な批判を寄せているようだが、元の報道に少しでも触れれば、当該発言が「自分自身と自民党所属議員に対する決意」であることなど一目で理解できるはずである。
そもそも元報道を確認もせずに批判している者や、報道を見たうえでこれを「一般国民を馬車馬のように働かせようとしている!」などと受け取る者は、ネット上での情報発信にあまり向いていないのではなかろうか。
筆者は「ワークライフバランス積極推奨派」であり、「ブラック労働積極撲滅派」であるが、それはあくまで「一般従業員に対して」の話である。そもそも、国会議員や企業経営者に対して労働基準法が適用されることもない。国を栄えさせ、従業員を養うために政治家や経営者がハードワークするのは至極当然のことなのだ。
高市氏は、パートナーを介護しながら政治家を続けてきた人物だ。今後はそれに加えて国の舵取りを担うことになるわけで、周囲から不安の声もあったと思われるが、そうした懸念を一蹴する強い意志を示すための発言であったと理解している。筆者は高市氏の覚悟を頼もしく思ったし、発言に一般国民へ過労を要求するようなニュアンスは微塵もなかったことを確認している。
したがって、高市氏の意図を分かっていながらなお「国民に強いるな!」とか「人間は馬車馬の馬ではない!」といった悪意ある曲解で批判する者、あるいは過労死遺族にわざわざコメントを取ってまで、発言を問題視する記事を即日掲載するマスコミに至っては、偏向の度合いがあまりに過ぎており、実に穢らわしいと言わざるを得ない。若者たちに対しては「このような浅ましい大人になってはいけないよ!」と強く警鐘を鳴らしておきたい。
自民党初の女性総裁が誕生したというまさにその日に、このような言いがかり同然の揚げ足取りが次々と出現する状況こそ、女性の政治進出に対する「ガラスの天井」そのものではないかと感じた次第だ。
そもそも、今回批判の先頭に立っている一部マスコミや野党議員こそ、過去には首相が休暇を取ったりゴルフをしたりするたびに「大事な時期に公務放棄か!?」「国民感情を無視している!!」などと騒ぎ立て、「首相が休むなど許されない!!」とばかりに非難していたではないか。それどころか、外交のために諸国を訪問することを「外交」とか「諸国訪問」とは言わず、あえて「外遊」と報じ(それ自体は間違った意味ではないが)、まるで遊びに行っているかのような印象操作まで行ってきた。にもかかわらず、いきなり政治家のワークライフバランスに積極的な関心を持ち始めるとは滑稽と言わざるを得ない。
仮に高市氏が決意表明の場で「ワークライフバランス重視で頑張ります!」などと述べていたなら、彼らはどうせ「片手間で総裁をやるつもりか!?」「覚悟が足りない!!」などと難癖をつけて叩いていたに違いない。同様に、バカンス中に突然発生した天災に対して対応が遅れでもしたら、「初動が遅い!!」と痛烈に悪罵していたはずだ。結局のところ、彼らはどちらに転んでも批判したいだけであり、それをあたかも「ワークライフバランスに配慮がないと困ります~」と寄り添うかのように装っている点が実に不快である。
しかしここまで説明してもなお、「高市氏がワークライフバランスを捨てるとか言うから、それを真に受けて、従業員にワークライフバランス無視の過労を強いる経営者や管理職が出てくるから批判されてるんだ!!」といった反論をしてくる人がいる。…
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続きは「新田龍の職場改革通信:働く人と組織を守るニュースレター」をご参照頂ければ幸いだ。