「キャリコネニュース」において2019年3月29日に配信された記事、「OB訪問で相次ぐ『就活セクハラ』防ぐには」においてコメントしている。
度々報道される、OB訪問を利用した就活生へのセクハラ問題。記事には掲載されなかった
コメントも含めて紹介差し上げる。
<相次ぐ報道についてどう考えるか>
⇒報道に上るのは、皆が名前を知っていてニュースとして拡散する可能性の
高い大企業や有名企業だけ。報道もされない無名企業を含めると、事件
数も被害者数も更に多いはずだ。Business Insider Japanが実施した
「就活セクハラ緊急アンケート」調査によると、2人に1人の学生が就活中
にセクハラ被害に遭い、そのうち約7割が誰にも相談できずにいると回答
している。被害者は当該企業の選考辞退となることはもちろん、心に深い
傷を持つようになることも多い。「就活セクハラ」という表現がそもそも
緩く、「就活暴行」「就活強姦」といった禍々しい表現を用いて、歴と
した犯罪であり、重大な人権問題であることを強く問題提起すべきだ。
<OB訪問する学生は何に気をつけたら良いのか>
・相手と会う際は、「二人きり」「夜」「人気のない所」等を避ける
・LINE等の個人連絡先の交換は避け、企業と大学のPCメールアドレス
でやり取りする
・OB訪問で会う相手には一般的に採用権限がないことが多いので、
「俺が口利きする」、「家に来たら●●してあげる」といった
交換条件や甘言は真に受けないようにする
・会話は録音しておく
・疑義があれば、大学や労働局に情報共有と相談をおこない、当該
企業に対しては公式に「御社にはこのような採用手法があるのか?」
と確認を入れる
<そもそも、なぜこんなに何度も発生してしまうのか>
⇒以下複数の要素が絡み合い、表に出にくく、かつ加害者にとって
実行へのハードルが低くなっていると考えられる
~被害者側の要素~
(1)被害者側が企業との力関係の差を考慮し、「選考に落ちたら困る」
「報復されたら怖い」「オオゴトになったら大学の後輩にも迷惑が
かかるかもしれない」といった感情を持ち、泣き寝入りしている
(2)相談窓口が分からない、どこに告発したらいいか分からない、
相談や告発しようにも証拠がない
(3)相談したところで何も変わらないし、相談や告発に当たって
イヤなことを思い出したくないという気持ち
(4)自分が決断してOB訪問したことで起きたので、自分の責任だ、
軽く扱われた自分が悪いという気持ち。もしくは、相談することで
自意識過剰だと思われたくない気持ち
(5)世の中の男性はそんなもの、「就活あるある」みたいなもの、
そもそもセクハラだという自覚がなかった等
~加害者側の要素~
(1)上記のような被害者側の事情をある程度承知しており、
「自分に採用権限があると思わせておけば、被害者は声を上げる
ことはないだろう」と舐めてかかっている
(2)「自分に異性として魅力があるから相手が了承している」と
カン違いしており、そもそもセクハラとして訴えられることを
想定していない
(3)「就活生と先輩社会人」という関係性により「下駄を履く」
ことができるため、経験豊富な異性を相手にするよりも比較的
労力をかけずに相手と親密な関係になれる好機と捉え、その機会
を楽しもうとするあまり、その後のリスクを考慮しない
<選考が有利になるから誘いも断れなかったのでは、という意見について>
⇒実際、被害者側からも同様の考えによって「断り切れなかった」との声も
出ている。そもそも、人事採用選考の専門家でもない一介の社員が、単に
「個人の印象」で就活生に加減点して採用を左右するシステムが存在する
こと自体がおかしいのであり、セクハラの温床になるようなOB訪問は
企業として推奨したり、選考要素にいれるべきではないと考える。
就活生の間では都市伝説のように語り継がれているが、そのような事実が
ないのであれば、企業側が公式に否定すべきである。
<事件発生を防ぐためには>
⇒そもそも就活生がOB訪問を希望する理由は、上記の「選考で有利になる
かもしれない」という憶測に加え、「実際に働いている人に内部の実情
を聴きたい」という意図があるが、それさえ企業側が認定するOBと会う
のであれば、企業側によって編集された「望ましい情報」が一方的に伝え
られるだけの、何ら意味がない茶番劇でしかない。
であれば、企業側はネガティブと思われるような内部事情(実労働時間、
有休取得率、離職率、制度が実際に使えるか、上司の人柄、ノルマの
難易度…など)を全てオープンにし、「ネガティブなことも全部含めて
納得ずくで入社する」という状況を創り出すことで、「そもそもOB訪問
の必要がない」状態こそ理想であると考える。
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